GR III Street Editionを買った話

1ヶ月ほど前に、リコーの単焦点コンデジ「GR III Street Edition」を買いました。しばらく使ってみて感じたことをまとめておこうと思います。

購入の経緯

GRシリーズといえば、銀塩時代から20年以上に渡って続くコンパクトカメラの名門です。今では激戦区となっている高級コンパクトというジャンルの先駆けで、スナップ撮影に特化した通好みのカメラとして熱烈な支持を受けている……ざっくり説明すればそんな感じでしょうか。

最初に断っておくと、私はGRというカメラに特段の思い入れはありません。

スナップは好きですし、コンパクトで高性能なレンズ一体型カメラを理想としているフシもあるので、当然GRに興味を抱いて手に取ったのは今回が初めてではありません。以前、GR IIIから数えて2世代前のGR(APS-Cセンサーを初採用したモデル)を所有していた時期があります。でも、どうも合わなかったんですよね。

そんなわけで、なんとなくGRには苦手意識を持ったまま数年が過ぎたのですが、最近になって現行モデルのGR IIIに興味が湧いてきました。

なんと言っても、GR/GR IIよりも一回り小さくなったボディが実に魅力的です。APS-Cのレンズ一体型カメラとしてこれほどコンパクトな物は他になく、今後出てくることもそうそうないでしょう。それでいて、手ブレ補正まで搭載されているとは……。

ただ、なんとなく「最近のカメラ」という認識でいたGR IIIも、もう約2年前(2019年2月)の機種です。モデルサイクル的には古さを理由に買い換えるほどではありませんが、それでもなんとなく、購入には今更感がつきまといます。

「欲しいけど今更すぎるし、買うのは次かな」と理性を保ってスルーしたいところですが、そこにGR III Street Editionという期間限定モデルがありました。

ほぼ外装の色を変えただけのテコ入れ特別仕様ではあるのですが、こういうのがあるとなんとなく「今しか買えないらしいし、これなら今更買ってもいいよネ」という気になってしまうので危険ですね。気が付いたら新宿のいつもの店から届いていました。

「GR III Street Edition」を眺める

少々ややこしいのですが、今回の限定モデルには「GR III Street Edition Special Limited Kit」と「GR III Street Edition」の2種類があります。

名前が長い方は2020年7月に全世界3,500台限定で発売され、限定カラーの本体に合わせてコーディネートされた外付けファインダーとストラップが付属する豪華版です。後者は付属品を省略したモデルで、2020年11月13日~2021年3月31日の期間限定で販売されます(3月末まで残った在庫はどこに行くんでしょうね?)。

2021年1月時点ではどちらも新品で買える状況でしたが、ただ画角を確認するだけの素通しのファインダーを使う気はしなかったので、2万円ほど安い後発のStreet Editionを選びました。

GRといえばやはり、抜群の機動力を活かしたストリートスナップのためのカメラです。この限定モデルには、そんなストリートのイメージが投影されています。

ボディには都会のアスファルトをイメージしたというメタリックグレーの塗装が施されており、GRシリーズの着せ替え要素としておなじみのリングキャップは、初登場の山吹色。「こんな派手だと映り込みが」などと言うのは無粋なのでしょうね。見た目はとても個性的で素敵です。

もちろん、通常モデルと同じブラックのリングキャップも付属します。こちらに交換すると一見普通のGRかな?というぐらい控えめな印象になりますが、手の込んだ特殊塗装が施されたボディは鈍い輝きを放っており、通常モデルにはない色気があります。

使い勝手や写りについて

元々コンパクトなGRシリーズですが、GR IIIはGR/GR IIよりも横幅が7.6mm狭く、数値以上に小型に感じます。大きさ・重さはごく普通のコンデジという印象で、このサイズにAPS-Cセンサーが詰め込まれていて一眼レフやミラーレス顔負けの画質が手に入るというのは驚異的です。

操作性に関しては特に不満はありません。ごく平凡なボタン配置やメニュー構成で、最低限必要な機能にはいつでもすぐにアクセスできます。欲を言えば、イメージコントロールやローパスセレクターをしっかり使いながら撮るにはあと1、2個カスタムボタンがあるとボタン設定を練りやすい気がしますね。

小型化を追求したガジェットの宿命で電池持ちはよくありませんが、連続で何百枚も取り続けるわけでもなければ、移動中にモバイルバッテリーなどからUSB充電すれば困らない程度です。2年前の機種でUSB Type-Cを採用しているのは割と先進的。2021年のガジェット事情を踏まえてもストレスなく運用できます。

GR IIIの使い勝手を評価する上で、今更ながら偉大だと感じたのは「レンズバリア」です。平凡なようで、高級コンデジの中でも単焦点機となると大抵は手動のレンズキャップになってしまいますからね。スナップシューターとしての速射性を考えると無視できない部分でしょう。

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過去にGRを使って「自分には合わない」と感じた最大の要因は、肝心の写り。あくまで性能にケチを付けるわけではなく、良く言えば「GRらしさ」、悪く言えば「クセのある写り」に共感できませんでした。クセのあるカメラやレンズが嫌いというわけではないので、好みの系統ではなかったというだけのことです。

そんなことを思い出しながらGR IIIで撮った写真を見ると、率直な感想として「“GRという枠の中では”優等生的なんだろうな」と思いました。歴代モデルを使い込んできた人の目線ではどこか物足りず面白みに欠けるのかもしれない、でも外野から見たら言うほど現代的な写りではなく、いやこれはGRだよ、となる……そんな塩梅です。
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コアなファンによる評価がどうしても大きな割合を占めるシリーズなので、あまり額面通りに受け取らない方が良いんじゃないかと。

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2世代前のGRはAWBだと寒色系に寄る傾向がありましたが、GR IIIは割とナチュラル。ローパスセレクターOFF(ローパスフィルターレス)の状態でも、モアレが気になる場面が少ないのは何なのでしょうね?AFもあれこれ言われているほど致命的に遅くはありませんし、意外と普通に撮れるカメラになっています。

とはいえ、GR信者でもなんでもない外野の目から見れば、やはり「GRらしさを楽しむ」ことが暗黙の了解になっているとは感じました。ちょっと硬い写りのレンズ、絞っても残る周辺減光、なぜか目立つ時がある色かぶり、ディテール重視すぎて低感度でもザラザラに見えるノイズ処理……あえて「普通の写真」を撮ろうとしてみると結構大変です。

個人的には「やっぱGRは趣味じゃないな」という結論に落ち着いてしまったので早々に手放しましたが、それでも旧モデルからの進化は実感できましたし、唯一無二のパッケージングは魅力的だと思います。波長が合うなら他に代えがたいカメラでしょうね。

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