Nikon Zマウントに移行した話

昨年の話になりますが、色々持っていたカメラやレンズを売り払い、ニコンのZマウントに一本化しました。この記事では、機材選定の経緯や使ってみた感想などをまとめて書き残しておこうと思います。

2020年時点での私のカメラ布陣

前提として、Zマウントに乗り換える前に使っていたカメラを紹介しておきましょう。

2019年秋から1年ほど、私のメインカメラは「LUMIX S1」でした。

実のところ、ライカ・パナソニック・シグマの3社によるLマウントアライアンスにはそれほど魅力を感じていませんでした。ライカのLマウントレンズはあまりにも巨大で高価ですし、シグマのレンズの写りはごく一部の気合いの入った上位レンズ以外はどうも好きになれません。

「たぶんボディもレンズもパナしか買わないだろうなあ」とは思いつつ、S1の優秀なEVFや操作性の高さがとてもしっくり来たこと、まだ十分とは言えないラインナップでありながらも、パナのLマウントレンズにはどれも光る物を感じたことが当時の選定理由です。

キットレンズにもなっている24-105mm F4はハーフマクロまでこなせて写りも申し分ないハイレベルな万能選手ですし、(結局買いませんでしたが)S PROの50mm F1.4は現行のフルサイズ用標準単焦点の中でもトップクラスの性能を持つ一本だと思います。

一方、使い込むうちに見えてくる欠点も当然ながらあります。まずはAFの弱さ。空間認識AFとかいう能書きはありますが、所詮は「コントラストAFを極めたやつ」なので限界があります。特に、暗所でのAF性能は他社の現行機種と比べてしまうと厳しいところです。

そして、購入前から分かっていたことではありますが、LUMIX S1/S1Rは大抵の一眼レフよりも大きくて重いです。コンパクトなサブ機が欲しくなる場面があります。S5?今ならそうかもしれませんね。S5に付いてくる20-60mmは絶妙なバランスだと思います。

あいにく、私の「軽いサブ機が欲しい病」が再発したのは(※ガチ装備をしたくなる時期と交互にやってきます)LUMIX S5の発売よりも少し前でした。正確には発表はすでにされていたのですが、スチル専門なのでバリアングルよりチルト派というのもあって、S5は断念。

結局、サブ機としてお迎えしたのは「α6400」でした。元々、EマウントのAPS-C機からカメラを始めたので、数年越しの出戻りです。「最新世代のソニー機って、撮って出しがずいぶん良くなったなあ」などと感動しつつ、軽快なサブ機のつもりでも使い始めると欲が出てきてしまうもので、軽くないF2.8通しのレンズを買ってしまったり、やっぱりボディ内手ブレ補正のあるα6600が欲しくなってきたり……。

そんなわけでLマウントとEマウントの掛け持ちをしながら構成を考えているうちに、「複数マウントの掛け持ちは不毛!サイズも操作性も画質も満足できる理想のシステムにまとめてしまえ!」という結論に至りました。

まあ、不思議なことにこの「2台持ちとかアホくさ、強いやつにまとめちゃえ」という流れは何度もやっているので、これで綺麗に終わるかというとおそらくそんなことはないのですけれどね……次は何が生えてくるのかな。

Zマウントを選んだ理由

さて、移行先としてZマウントを選んだ理由は単純明快。コンパクトで操作性もEVFも素晴らしく、レンズも高性能な物が揃い、撮って出しもイケてる……求めていた要素がすべて揃っていたからです。

実を言うと、LUMIX S1を買う時にもZは少し考えていたのですが、初代のZ 6/Z 7はXQDオンリーというのが引っかかり、見た目もどうも気に入らないし、レンズもまだまだ出揃っていないし、と避けてしまったのですよね。

1年経って、第2世代の機種ではSDカードも使えるようになりましたが、見た目は相変わらずブサイクだし(小柄なボディに大口径マウントを押し込んでいるが故なので今後も変わらないでしょう)、「最低限これだけは出なきゃ話にならない」と思っていた24-105mmは未だに出ていません。

冷静に考えると1年前に「Zマウントのここが無理」と思ったポイントの2/3は解消されていないわけですが、魅力がそれを上回ったから今回は購入に踏み切れたということでしょう、たぶん。

機材選定(ボディ編)

Zマウントのボディは、執筆時点では「Z 50」「Z 5」「Z 6」「Z 6II」「Z 7」「Z 7II」の6機種が販売されています。各機種の特徴をざっくり説明すると、こんな感じ。

Z 50:APS-Cのやつ

Z 5:フルサイズのちょっとお買い得なやつ

Z 6:フルサイズのいいやつ(旧)

Z 6II:フルサイズのいいやつ(新)

Z 7:フルサイズのいいやつの高画素版(旧)

Z 7II:フルサイズのいいやつの高画素版(新)

こんな雑な説明をしているブログはおそらく他にありませんが、だいたい合ってます。

私の選び方としては、まずフルサイズにこだわりはないものの、ただでさえレンズが少ないZマウントでAPS-Cを選んだら何もできないのでZ 50は除外。手持ちスナップ大好き夜型人間なので、高感度耐性や暗所AFに不安があるZ 5も除外。逆に、そこを無視できる人ならZ 5はZ 6/Z 6II比でかなりお買い得な機種だと思います。

そして、SDカードを使いたいのでXQDオンリーのZ 6とZ 7も除外。残る選択肢はZ 6IIとZ 7IIですが、この2機種はセンサーを除けば基本的に同じなので、単純に「高画素機が必要かどうか」だけで選べます。私の用途では24MPクラスで十分なので、迷わずZ 6IIを選びました。

機材選定(レンズ編)

まず購入したレンズは「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」。キットレンズとしても採用されており、おそらくZマウントでは一番普及しているレンズです。24-70mmでF4通しの標準ズームレンズですね。本当は24-105mm待ちですが、ひとまず繋ぎとして。

2本目のレンズは迷いました。広角・標準・望遠のズームレンズ3本は揃えたいところで、元々機動性重視で選んだシステムですから、欲張りすぎず小三元(F4通し)で良いかなと考えています。

となると、標準の次は広角の「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」を買うか……と思ったのですが、私が広角ズームを多用する場面は展示会でのブース取材ぐらいなので、そういう出番がないこのご時世だとすぐに買う必要はないかな、と後回しに。

それなら望遠を先に買うか?いやいや、望遠はまだF2.8通しと高倍率ズーム(便利ズーム)しか出ていません。あれ、(良くも悪くも)今すぐに買わなきゃいけないレンズはないのか……。

しかし、LマウントとEマウントのボディやレンズをすべて売り払った上での乗り換えですから、Z 6IIと24-70mm F4を買っただけでは予算がダダ余りです。せっかくなので欲しいもん買っちゃいましょうよ。

一番欲しいZマウントレンズは「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」ですが、さすがに100万は出せません。でも、「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」なら下取りでなんとかなってしまいます。こっちも十分すぎるほどすごいんだよな……。こんな機会でもないと手が出ないし、ねぇ?

ミニレビュー

購入の経緯をお話ししたついでに、購入した機材のレビューもちょっとだけ。

Z 6II

Zのボディって見てくれはどうもパッとしないんですが(失礼)、手に取ってみるとどれもニコンらしい「頼れる道具」感があります。がっしりしたボディに千切れそうもない丈夫そうなフタ、確実な操作感のダイヤルなど、ミラーレスになってもやはりニコンのカメラです。D500を使っていた頃を思い出しました。

まあ、Z 6IIはそこそこいい値段の機種ですからともかく、Z 5あたりを触っても同じようにしっかりしているのが立派なところでもあり、「本当にこんな見えない部分に金かけて商売になってんのかなぁ」と心配になるところでもあります。

初代の時点で完成されていましたが、EVFはやはり一級品です。一眼レフ原理主義者Fマウントを長く愛用されてきた方々も納得させなければならないという苦労が垣間見えるような……単にドット数が云々ではなく、光学系がちゃんとしていて他社ミラーレスと比べても格段に見やすいんですよね。

写りに関してはどこまでがZマウントレンズの手柄でどこからがボディの手柄かという判断は難しいところですが、Zの撮って出し(というよりはEXPEED 6?D780も割と良い気が)は良いですね。Zに乗り換えたくなった瞬間は何度もありましたが、特に、フォトヨドバシとかKASYAPAじゃない普通の個人ブログの撮って出し作例を見た時に「ああ、俺もこんなカメラで楽してぇ」と思ったのが割と大きなきっかけだった気がします。

NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

24-105mmが出るまでの繋ぎ、としか思っていませんでしたが、使ってみるとなかなか良いレンズですね。仮にもS-Lineの小三元ズームなのに、「キットレンズだから」というだけの理由で妙に安く取引されていますし、最初の一本としてこれを買わない理由はないのではないかとすら思えます。

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そもそもZマウントレンズの性能基準はとても高く、キットレンズであろうと例外なくそれを満たして設計されています。多少の周辺減光こそあれど、よく解像しますし、ズーム全域で最短撮影距離0.3mという使い勝手の良さも見逃せません。

実はナノクリスタルコートを採用していて逆光耐性が見事なので、そういう意地悪な撮り方もぜひ一度は試していただきたいレンズです。

NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

定価30万で1kg以上ある標準域の単焦点なんて初めて買いましたよ……。ショートフランジバック・大口径マウントの利点を存分に活かしたレンズの一本です。

「Noctと違ってなんとか手が届く方の大口径標準単焦点、しかもAFまで使える」と、どうしても規格外のアレと見比べられてしまうポジションかもしれませんが、実のところほぼ関係はなく、こちらはこちらでビオゴン型(※一般的には広角向き)であえて50mmを作ったという個性的なレンズです。

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美しく滑らかなボケを味わうだけのレンズではなく、これほどの大口径レンズでありながら開放から素晴らしい解像力を見せ、目立った収差もありません。大口径レンズ特有のクセや扱いにくさとは無縁で、現代の高級レンズらしく隙がないハイレベルな代物です。