iPhone 12 miniをいまさら購入――最後かもしれない小型iPhoneに思うこと

9月発売のiPhoneを6月に定価で買うなんてケータイオタク的にはありえない話ですが、どうも雲行きが怪しくなってきた「iPhone 12 mini」を最後のつもりでいまさら買いました。

廉価機のSE系を除けば、久々の小型iPhoneとなったiPhone 12 mini。どちらかと言えばAndroid派の人間とはいえ(年1台ぐらいは買うからそこらのiPhoneユーザーより買ってるけど)、小型端末好きとしては買っておくべき機種でしょう。

……いや、商業的な成否の判断がもう付いているであろうこんな時期に買っても応援にも何もなりませんが。漏れ聞こえてくる話を聴く限り、限りなく“否”寄りなようですね。

12世代のiPhoneはカラーバリエーションが良いですよね。

一番好みなのはグリーン、でも後発のパープルにすれば冒頭で触れた「今更感」が薄れるな……いや、先祖返りしたフラットフレームにこのサイズと来れば、選ぶべきは「あの頃のiPhone」感が増すホワイトなんじゃないか?

などと色々考えましたが、正直に好きな色を買うことにしました。後発カラーだとリセールバリューが良いなんてこともないようですし。

発表時から色々言われていた通り、iPhone 12シリーズ登場以降(旧機種の継続販売も含む)のiPhoneは付属品が大幅に削減されました。

ACアダプタは別に必要なら買えばいいじゃんと思いますが、本体に貼られる初期フィルムが白い紙になって貼ったまま作業できなくなったのは販売現場からは嫌がられていそうだなーと想像します。

紙ストローしかりレジ袋しかり、自分たちが気持ち良くなっているだけで大してエコでもない上に他のことが何も見えていなくて迷惑をかける環境活動には反吐が出ますね。

さて、話を戻して。iPhone 12シリーズ、特にPro以外の外観は個人的にはここ数年のiPhoneで一番好きです。

4~5sを思い出すような直線的な形状に、ギラギラしていない品の良い仕上げ。カラーバリエーションのセンスも良く、多色展開をしながらもXRあたりで見られたような「フレームと背面ガラスの色が合っていなくてまとまりない」というようなこともありません。どこをとっても嫌味のない美しいハードだと思います。

8~10万円という価格帯で、性能も機能も質感も妥協のないハイクオリティな小型端末を今作れるメーカーは限られています。

秋発売のiPhoneが翌年のトレンドを作るというのはよくある流れですが、この小型モデルの提供に追随したメーカーはほぼありません。強いて言えばASUSのZenfone 8はそう受け取ることもできますが、iPhone 12 miniほど極端なコンパクトサイズではないです。

マンネリ化した近年のiPhoneの中では珍しいぐらい、賭けの一手だったのではないかと思います。

そんなわけで、ハードに関しては他社にはまず作れない(仮に作る余裕があっても売れないから作らない)構成で、2021年現在の小型スマートフォンとしては最高峰と言って良いでしょう。一方で、ソフト面ではこのハードを活かせていないのではないか、むしろ殺しているのではないかとも感じました。

個人的には今のiOSやmacOSのあらゆる鬱陶しいAppleしぐさが嫌いですし、「iPhoneは直感的」と生前の教祖様のお言葉をいつまで盲信している連中を鼻で笑ってしまうレベルに混沌化したUIもどうかと思っていますが、そこはこの話の主旨ではないのでさておき。

たとえば画面の表示サイズ。小型端末を求めるユーザーの割り切り方は2通りあって、「画面の情報量が減ってもいいからコンパクトにしたい」派のほかに「表示が小さくなってもいいから通常サイズの端末に近い使い方をしたい」派もいるわけです。iPhone 12 miniは残念ながら後者の使い方にはマッチせず、設定範囲の限界まで使っても、論理的な表示領域の狭苦しさから逃れることはできません。

本当にminiを売る気があったならOS側の備えがもっと必要だったんじゃないか、と思う部分はあちこちにあります。たとえばiPhoneでは当たり前なので今更な話ですが、パスワード入力時にQWERTYキーボードに固定されてしまうのもこのサイズだとちょっとしんどいですよね。

もっと致命的なところでは、App Storeをはじめとした多くの純正アプリが空間をリッチに使って見栄えを良くする大型機のためのUIになってしまっているので、使えば使うほど、今のiOSで何の備えもなく小型機を出すのは無謀だったのではないかと思えてきます。

iPhone 12 miniに興味を持って触れた人の多くが「小さすぎ」と他の12シリーズに流れてしまったのは、当たり前のことかもしれません。ソフトとのミスマッチで画面サイズを有効に使い切れなかった結果、せっかくの素晴らしいハードが実用性のない物に映ってしまうのは残念な限りです。