高音質Bluetoothレシーバー「FiiO BTR5」レビュー

ハイエンドを中心に多くのスマートフォンからイヤホンジャックが消え、ワイヤレスイヤホンが当然のように普及した時代ですが、それでも音質にこだわったお気に入りのイヤホンを使いたい人は少なくないでしょう。

DAPを別に持ち歩くほど本気のオーディオマニアではないけれど、どうにかして有線のイヤホンを今時のスマホで使いたい……そんな人に向けた現実解として、音質重視のBluetoothレシーバーが再注目されています。

ただ単にイヤホンを無線化するためのBluetoothレシーバーは、フルワイヤレスイヤホンが当たり前になった今ではほぼ役目を終えた道具でしょう。7~10年ぐらい前によく使ったなあ、Sony EricssonのMW600とか、SONYのSBH50とか……懐かしいなあ。

今あえて使いたいBluetoothレシーバーは利便性のための物ではなく、ヘッドホンアンプ・DACの無線版に近いです。基本的には「良い音で聴くための道具」でありながら、Bluetooth接続なので今時のスマホ事情にもマッチします。

今回選んだ製品は、FiiOの「BTR5」。FiiOはポータブルオーディオ界隈では有名なメーカーで、この手のBluetoothレシーバーもいくつか出しています。BTR5は上位機種という位置付けで、まさに音質重視で選ぶべきBluetoothレシーバーの筆頭です。

FiiO製Bluetoothレシーバーの現行製品は、BTR5、BTR3K、μBTRの3機種。μBTRは利便性重視の小型軽量モデルといったニュアンスで少しターゲット層が異なりますが、BTR5とBTR3Kに関しては、どちらもBluetooth接続でも良い音を求めるオーディオ好きのための製品です。

両機種ともにBluetoothチップはQualcommの「CSR8675」を採用しており、通信性能や対応コーデックに目立った違いはありません。音質に直結するDACチップは異なり、BTR3Kは旭化成の「AK4377A」を2基、BTR5はESSの「ES9218P」を2基搭載しています。

その他の違いとしては、イヤホンではあまり問題にならないかと思いますが、BTR3KとBTR5ではアンプ出力が3倍近く異なるので、インピーダンスの大きいヘッドホンを駆動する場合にはBTR5を選んだ方が良いでしょう。

私は以前、1世代前の「BTR3」を使っていて、新しいイヤホンを買ったついでに上位機種のBTR5に手を出してみました。BTR3と比べると、DACが2基に増えて左右独立構成となり、バランス出力(2.5mm)に対応するなど、違いは大きいです。

細かい部分で言えば、μBTRやBTR3は服などに留めるためのクリップが一体型でしたが、BTR3KやBTR5では本体から取り外せるようになったので、クリップを使わない人にとってはスリムで収納しやすくなったのはちょっと嬉しい改良点ですね。

BTR5は対応コーデックも豊富で、AAC、SBC、aptX、aptX LL(Low Latency)、aptX HDLDACに対応しています。主要コーデックを一通り押さえてあり、特にaptX HDやLDACも使えるのはありがたいところ。画面表示で使用中のコーデックもすぐに分かります。また、USB Type-C経由でUSB DACとして使うこともできます。

余談ですが、旧型のBTR3にはHWAというHuawei製端末でしかほぼ使われていないマイナーなコーデックまで入っていて、スマートフォンの対応コーデックを確認するテスターとしても重宝していました。BTR3KやBTR5ではさすがに削られてしまったようです。

私は主に「moondrop chaconne」との組み合わせでBTR5を使用しています。chaconneは今時珍しいインナーイヤー型の1DDで、音場の広さと繊細な高音域が魅力。EX1000を初めて聴いた時の感動を思い出すような素晴らしいイヤホンです。

chaconneの話はさておき、BTR5自体も端的に言って「良い音」。BTR3でも十分でしたが、ストリーミング再生&Bluetoothという現代的な使い方でも、素性の良いアンプがあるとここまで変わるんだ!と驚きます。ただし、デュアルDACの恩恵を受けられるのはバランス接続時のみとなります。

ワイヤレス系のアイテムはつい使い勝手で選んでしまいがちですが、なんだかんだ言って無線区間よりも耳に近い部分ではそれぞれの音、個性があるわけで……たとえばSHUREのMMCX Bluetoothユニットを他社イヤホンで使ったりなんかするとひどいことになります(試して失敗した経験あり)。イヤホンの選択肢よりもワイヤレス化アイテムの選択肢のほうがはるかに少ないのですから、できれば味付けはイヤホンに委ねたいところです。

そういった意味では、BTR5はとても優秀。フラットな音作りなので、相方となるイヤホンやヘッドホンを選ばず活躍できる万能選手です。

まとめ

お気に入りのイヤホンを手軽にスマートフォンでも使いたい、いつでも良い音を楽しみたいという人には、FiiOのBTR5はおすすめできる製品です。

1万円台中盤という実売価格は「Bluetoothレシーバー」として見ると高いかもしれませんが、BTRシリーズはFiiO的には「Bluetoothアンプ」です。ポタアンなどを買う感覚で見れば決して高くはありませんし、USB DACとしても使えてこれ一台で色々な機器を「良い音」にレベルアップできることを考えれば、持っておいて損はないでしょう。

下位モデルのBTR3Kでも、デュアルDACによる左右独立構成やバランス駆動、豊富な対応コーデックなどの特徴は共通しているので、コストパフォーマンスを重視するのであればBTR3Kも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。