「Xiaomi Mi 10T Lite 5G」レビュー:日本未発売の格安5Gスマホ

2020年秋に海外で発売されたXiaomiのミドルレンジスマホ「Mi 10T Lite 5G」を入手しました。最近は日本でも低価格で優秀なスマートフォンを連発していて、注目度が上がっているXiaomi。この機種は日本未発売ですが、参考までにぜひご覧ください。

「Mi 10T Lite 5G」ってどんな機種?

Mi 10T Lite 5Gは、Xiaomiが2020年秋に発売したミドルレンジのAndroidスマートフォンです。発売直後の現地価格は2,099香港ドル、日本円にして3万円を切るほどの安さですが、製品名の通り、この値段で5Gにも対応しています。

Xiaomiの製品ラインナップについて少し補足すると、2020年前半の主力製品だった「Mi 10」シリーズに対して、後半に登場した「Mi 10T」シリーズは後継機や上位互換というわけではなく、むしろ削るところを削って少しリーズナブルな価格に見直したという立ち位置になっています。

このMi 10T Lite 5Gの場合、前モデルのMi 10 Lite 5G(日本ではauから発売)と比べると、SoCがSnapdragon 765GからSnapdragon 750Gにランクダウンした代わりに、カメラ性能などを強化しつつ、現地価格で約5,000円の値下げを実現しました。

外観:グラデーション&マット仕上げで質感◎

6.67インチと大きめのディスプレイを搭載しており、バッテリー容量も多いため、本体サイズは約165.4×76.8×9mm、重さは約214.5gと大柄です。日本で発売されているモデルで言えば、2020年夏モデルとして人気を博した「Redmi Note 9S」に近いサイズ感ですね。

ミドルレンジでも有機ELを採用する機種が珍しくなくなってきましたが、Mi 10T Lite 5Gは液晶を採用しています。画面サイズの大きさと相まって、焼き付きが心配なカーナビなどの用途にはうってつけではないでしょうか。

インカメラはパンチホール(穴開き)式の配置なので、液晶の特性上(有機ELのパンチホールと違って)、インカメラ周辺が少し暗く見えてしまうのが気になる人もいるかも。MIUIには「ノッチを隠す」という設定があり、有効にするとステータスバーが黒くなってインカメラ周りの違和感を軽減できます。

Mi 10T Lite 5Gには3色のカラーバリエーションがあり、写真の端末は「Rose Gold Beach」という色です。この色だけグラデーションカラーとなっており、マット仕上げの背面パネルと美しいグラデーションの組み合わせは、とても3万円クラスの端末には見えません

前モデルのMi 10 Lite 5Gはどちらかといえば地味、THE無難という感じのデザインでしたが、Mi 10T Lite 5Gは個性的で質感も良く、外観に関してはとても好印象でした。

最後に、側面のボタンや端子類をまとめてチェックしておきましょう。

右側面には音量キーと電源キーがあり、電源キーは指紋センサー一体型です。左側面にはSIMカードトレイがあります。グラデーションカラーは背面だけでなく、側面のフレーム部分も綺麗に塗装されています。

上部には、中国のスマートフォンでは根強く採用され続けているIRブラスターがあります。家電の操作などに使える赤外線機能です(※日本のケータイの赤外線通信とは別物)。

下部にはUSB Type-C端子とスピーカー、そしてイヤホンジャックが備えられています。

性能:Snapdragon 750G搭載でお値段以上に快適

冒頭ではSnapdragon 765Gから750Gへの変更をランクダウンと表現しましたが、実際にはそうとも言い切れない面があります。

確かにQualcommのSoCラインナップ上は765Gの方が上位の製品なのですが、750Gの方が新しくCortex-A77を採用しているためCPU性能では勝ると考えられ、GPUも含めた総合性能でも大きく不利になることはないでしょう。メモリも6GBあるので日常利用の範囲では不足は感じません。

5G対応を売りにしている端末ということで一応触れておくと、対応バンドは5Gがn1/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n41/n77/n78、4GがBand 1/2/3/4/5/7/8/20/28/32/38/40/41です。まあ、5G目当てなら海外端末を使うのは現状として不確実な要素が多いのであまりおすすめはしません。

性能面で特筆すべき点としては、Mi 10T Lite 5Gはミドルレンジ機でありながらディスプレイの120Hz駆動に対応しています。

高フレームレートのディスプレイは長らくハイエンド機だけのものでしたが、Snapdragon 730あたりからミッドハイ向けのSoCでも実現できる機能になりました。ただし、90Hz駆動や120Hz駆動の需要と恩恵が最も大きいゲーム分野においては、そもそも性能不足で高フレームレートを維持できないので、わざわざこの機能をミドルレンジに積極的に取り入れているメーカーは多くはありません。

つまり、Mi 10T Lite 5Gにおける120Hz駆動の価値は一瞬を争うシビアなゲーム画面の見やすさではなく、普段使いの動作がより滑らかになるというところにあります。

性能面ではもうひとつ、電池もちの良さも見逃せません。正確には保ちが良いというよりは、単純にバッテリーが多いだけの話なのですが……。

4820mAhの大容量バッテリーのおかげで長時間使えるので、移動中に電子書籍や動画を見るには重宝しますし、常時起動しながら歩き回る位置ゲーにも向いていそうです。

UI:機能面での見どころも多いMIUI 12

Mi 10T Lite 5Gに限った話ではありませんが、Xiaomiのスマートフォンの多くには「MIUI」という独自UIが採用されています。

昔は中華スマホにありがちなiPhoneを意識しすぎた(iOSライクな)癖の強いUIだったのですが、最近のバージョンは小綺麗にまとまっていますし、おそらく日本上陸後に初めてXiaomiのスマートフォンに触れた大半のユーザーにとっては、さほどネガティブな印象はないのではないかと思います。

見た目はシンプルになっても、今でもMIUIは独自機能が多い部類です。同じアプリを2つ使える「デュアルアプリ」、iPhoneのAssistiveTouchのように画面上の好きな場所にホームボタンなどの操作を移動できる「クイックボール」など、慣れると便利な機能が揃っています。

MIUIの小ネタとしては、地域設定を日本以外にすると簡単にシャッター音が消せるなんてことも……(※悪用厳禁!)。

カメラ:廉価版なのにまさかの性能アップ!?

冒頭で説明した通り、Mi 10シリーズから性能・機能を少しだけ削って安くしたのがMi 10Tシリーズ……なのですが、このMi 10T Lite 5Gに限っては、元のMi 10 Lite 5Gを上回っている部分もあります。それがカメラです。

広角+超広角+マクロ+深度のクアッドカメラという構成は同じで、メインの広角カメラが約4800万画素 F1.8から約6400万画素 F1.9に変わりました。ちなみに、高画素化によってピクセルサイズが小さくなってしまったわけではなく、画素ピッチは同等で一回り大きなセンサーになっています。

なお、2~4個目のカメラは変わらず、超広角が約800万画素 F2.2、マクロが約200万画素 F2.4、深度測定用が約200万画素 F2.4です。

上の2枚は、いずれも前モデルからの変更点となるメインカメラ(広角)で撮影したものです。風景写真を見ると発色も比較的自然で、この価格帯のスマートフォンのカメラとしてはなかなか悪くない写りだと思えます。

センサーはソニーのIMX 686を採用しているそうで、これは価格帯の近い「POCO X3 NFC」などでも採用されている一方、ワンランク上の「Mi 10T」(Liteじゃない方)とも同じ。SoCの性能差、あるいは単純に機能の差別化を図るためかもしれませんが、4K 60fps撮影などの一部機能がMi 10T Liteでは提供されていないことはさておき、写りそのものは上位機種と遜色ないことがハード構成からも明らかです。

まとめ

戦略的な低価格で5Gに対応するスマートフォンは各国で登場していますが、Mi 10T Lite 5Gは決して「3万円で5G対応!」というだけの一芸に特化した機種ではなく、トータルで完成度の高い機種に仕上げた上でこの値段で出せてしまうというところにXiaomiの実力の高さを感じます。

ただ安く5G端末を作るだけならSoCの選択次第(MediaTek Dimensityなど)で2~3万円で出せる状況になってきていますが、この機種はSnapdragonを採用してミッドハイレンジ相当の快適に使える性能を持たせながら、前モデルよりもカメラ性能を強化する余裕を見せ、外装にまでお金をかけた上で3万円に収めているのです。

台数を出せるメーカーだからこそのスケールメリットはあるにせよ、ここまでコストパフォーマンスに優れた機種はなかなか無いでしょう。もっとも日本国内で使う分には(輸入コストや対応バンドなどを考えると)積極的に選ぶ理由がある機種ではないのですが、価格破壊ぶりに唸る一台です。日本市場で言えば、注目の「Redmi Note 9T」に通じるものがありますね。